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中小企業のコンサルティング

差別化で勝つ!中小企業が取るべき差別化戦略

「差別化」という言葉は何となく理解しているものの、いざ差別化戦略を考えるとなると、何を行えばいいか分からないという方は多いかと思います。

また取り組めない理由として、「大きな投資が必要なんじゃないの?」「競合と被らない商品を作れば差別化なの?」などの疑問があるために、 行動に移せないのではないでしょうか。 しかし差別化戦略にも種類があり、中小企業にとって最適な差別化戦略を選択することで、少ない投資額でも事業伸長に繋げることができます。

当コラムでは中小企業様が取るべき差別化戦略を実例を交えて紹介することで、今後ご担当者様の事業見直しにお役立て頂きたいと思います。

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差別化戦略について

差別化戦略とは

差別化戦略とは、1980年にアメリカの経営学者マイケル・ポーター氏が著書『競争の戦略』にて提唱した3つの競争戦略のうちの1つになります。
ポーター氏の戦略は【対象とする市場(広い市場・狭い市場)】と【優位性(低価格・差別化)】の2軸から成ります。

下記はポーター氏の提唱する3つの戦略になります。

① コストリーダーシップ戦略<広い市場×低価格>
広い市場やターゲットに対して、規模の経済や技術上の優位性を用いることで
価格優位性を確立する戦略

 

② 差別化戦略:<広い市場×差別化>
広い市場やターゲットに対して、製品やサービスに独自性や特徴を持たせ、
他社との差別化を図ることで優位性を確立する戦略

 

③ 集中戦略:

・コスト集中戦略:<狭い市場×低価格>
特定の狭い市場やターゲットに対して、低価格の製品・サービスを
提供することで競争優位性を高める戦略

・ 差別化集中戦略:<狭い市場×差別化>
特定の狭い市場やターゲットに対して、自社の製品・サービスの
差別化を行うことで競合との価格競争を回避する戦略

中小企業が取るべき差別化戦略

上記3つの戦略の中でも、
中小企業が取るべき戦略として「差別化集中戦略」を推奨いたします。

実際に中小企業白書の調査においても、中小企業が実際に行っている戦略として1番目に差別化集中戦略、2番目に差別化戦略が多いことが分かっております。


(出所:2020年版中小企業白書)

 

また競争戦略と営業利益率の関係を見ると、「差別化集中戦略」を採用する企業の営業利益率が高い傾向にあります。
特定市場をターゲットに競合他社との特異性を作り出すことで、価格競争に巻き込まれることなく利益を確保できるといった理由が考えられます。

(出所:2020年版中小企業白書)

差別化集中戦略のメリット・デメリット

中小企業が差別化集中戦略を行うことで下記のようなメリット・デメリットがございます。

 

<メリット>
・競合他社との価格競争から脱却できる

・高い営業利益率を確保することができる

・他社の同業界への新規参入を抑制できる

・伸ばすべき自社の強みが明確になる

 

<デメリット>

・大企業の参入により顧客を失う可能性がある

・価格が安い競合他社に顧客が流れてしまう可能性がある

・市場の変化が激いため、外部環境の影響を受けやすい

・差別化戦略を確立させるための労力がかかる

 

戦略策定後に上記デメリットのような状態にならないためにも、定期的に戦略を見直しましょう。

差別化集中戦略に失敗する理由

差別化集中戦略に失敗してしまう理由として下記が挙げられます。

 

・気づいたら広い市場を狙ってしまっている

・気づいたら低価格に流れてしまっている

・競合や市場の調査不足により二番煎じになる

・適切な差別化の手法を取れていない

・自社の強みを生かせない製品・サービスに手を出す

 

上記のような失敗をしないためにも、やみくもに戦略を考えるのではなく以下のようなプロセスで戦略を策定することをおすすめします。

 

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差別化集中戦略の実践方法

自社と競合他社の理解

差別化を行うにあたって、はじめに競合他社と自社の現状分析を行います。
競合他社と自社と比較した、自社の強みと弱みを明確にしましょう。

現状分析の結果を踏まえて、狙うべき市場における差別化ポイントの発見や、
自社の商品やサービスの改善点の優先順位をつけることができます。
下記プロセスにて実行ください。

 

①競合他社の選定
自社の競合にあたる企業を選定しましょう。
異業種であっても同じニーズを満たす選択肢として可能位のある
商品・サービスをピックアップすることがおすすめです。

 

②意思決定に影響を及ぼす全ての要因の洗い出し
当市場において顧客の意思決定に影響を及ぼす項目を洗い出しましょう。
例としては知名度・価格・商品数・対応エリアなどが挙げられます。
顧客目線で、抜けもれなく項目を洗い出すことが大切です。

 

③点数化
上記で洗い出した①自社と競合他社の②意思決定に影響を与えるにそれぞれ点数を付けましょう。この際の注意して頂きたいのは、客観的に知り得る情報をもとに顧客目線で点数をつけるということです。また可能な限り主観を取り除くために、複数人で点数を確認することをおすすめします

 

上記プロセスを行うことで、市場における自社の強み・弱みを把握し、さらに自社における強みと、改善する弱みを明確にします。
下記は実際に①②③のプロセスを表にまとめたものになります。

ターゲットの選定

自社と競合競合他社の理解を行った後は、下記のプロセスにてターゲットとなる顧客を選定いたします。

①ターゲット属性の選定
ターゲットを構成する主要な属性を3・4個ほど選定しましょう。
例えば、年齢・年収・家族構成のような属性が考えられます。
属性を細分化して、優先順位の高い順に点数をつけましょう。

 

②属性の掛け合わせ
属性同士を掛け合わせ、点数の合算値の高い順に並べ替えます、
点数が高く、属性の重複が少ないターゲットを5~10個ピックアップしましょう。

 

③ペルソナの作成
上記で明らかになった優先順位の高いターゲットのペルソナを作成することで、
差別化戦略における顧客の解像度を高めましょう。
(潜在ニーズと顕在ニーズを明確にする)

ペルソナの作り方の詳細はこちら:

 

上記プロセスにてターゲットとなる顧客を明確化することで、
ターゲットに刺さる訴求内容の精査や、取組む施策の効果を高めることに繋がります。

訴求ポイントの精査

競合他社と比較し、自社と他社を把握し、ターゲットの優先順位をつけてペルソナを設定した後は、訴求ポイントの精査を行います。上記で作成したペルソナの潜在ニーズ・顕在ニーズを踏まえて、ターゲットごとに度の強みを訴求していくか整理をしましょう。

差別化における4つの観点

上記プロセスにて明確になった顧客に対して、価値のある特異性を作り出すには下記4つの観点にて施策を検討していくことがおすすめです。
下記は4つの観点とそれぞれ考えらえる施策を記載しております。

ブランドイメージでの差別化

‐他のブランドとは異なる世界観をつくる
‐ブランドのストーリーを伝えることで共感を生む
‐クリエイティブのイメージを統一させることでブランドイメージを作る

製品での差別化

‐競合の製品に無い機能を追加する
‐斬新なデザインを施す
‐ユーザビリティの高い製品に改良する

顧客サービスでの差別化

‐自社の想いを顧客に伝える
‐サービスの品質を向上させる仕組みを作る
‐付加価値としてのサービスを強化する

販売チャネルでの差別化

‐競合が利用していない販売チャネルで販売する
‐競合が注力していない販売チャネルに投資する
‐販売チャネル間の連携の強化

 

上記4つの観点から施策を考案することで、特異性のある施策を考案できます。

中小企業の実例紹介

ブランド

小池精米店

「小池精米店」は一般的なお米屋のイメージから一転して、独自のブランディング戦略によって注目を集めました。

現代表の小池理雄氏が、実父から事業を引き継いだ際に「お米を楽しむ」という新たなコンセプトを策定し、お米の選び方や炊き方、食べ合わせ方などお米の楽しみ方を提案を始めました。

さらに「お米を楽しむ」ためのイベント開催や、メディアへの積極的な露出を行うことで、同社のイメージの浸透を図りました。

ビジュアル面でも、米粒をあしらったロゴマークやカラフルなパッケージを用いることで、従来のイメージからの脱却を図り、
主力商品の「あ・さ・ひ・ま・つ・光」は、世界的な注目を集め、売上も爆発的に伸びたとのこと。

「お米を楽しむ」という視点を通じて、新たな視点を用いたブランディングに成功した例だと言えます。

製品

有明産業

洋樽の製造・販売をおこなう有明産業は、独自の視点で製品の差別化を行うことで業界を牽引する存在となりました。

創業から主要事業であった木箱製造業界の低迷に伴い、同社は洋樽製造事業に参入致しました。洋樽製造事業への参入から数年間は競合との価格競争に陥り、経営戦略を模索する中で、取引先である酒造メーカーが求めているのは樽自体ではなく、樽が醸す「酒の味わい」だと気づきました。
「酒造メーカーの製品価値を上げる樽を作る」という視点で樽作りを再考しました。

これにより「焼き加減を変えることで酒のフレーバーが変わる樽」や「加工が難しい日本木材を使用した樽」などこれまで業界には浸透していなかった、樽自体に製品加工を行い酒の味を向上させることで競合との差別化を図りました。現在では、国内唯一の洋樽専業メーカーとして更なる製品の開発に取り組み、業界を牽引しています。

自社のリソースを最大限活用し、特異性のある製品にて差別化を図った例だと言えます。

 

顧客サービスによる差別化例

ファナック株式会社

産業用ロボットを主力製品とするファナック株式会社は、顧客への手厚いアフターサービスが、同社の信頼に繋がり注目を集めることに繋がりました。

同社は「壊れない、壊れる前に通知する、壊れても即座に修理する」というコンセプトを打ち出し、自社の製品であれば製造が終了していても、永久に無償保守が受けられるアフターサービスを設けています。

当サービスは、自社の機器が高品質であるという話題性による広告効果があることに加え、顧客側の購入ハードルを下げることにも繋がっています。

また実際に、ファナック株式会社はその高い品質と独自のアフターサポート体制により、業界内での地位を確固たるものとし、現在も産業用ロボットメーカーにて世界でもトップ4のシェアを誇っています。

顧客を思うサービスが同社の高い品質の裏付けとなり、差別化に繋がった例だと言えます。

販売チャネル

サンミ倶楽部株式会社

熱海にてホテル・サンミ倶楽部を運営するサンミ倶楽部株式会社は、自社HPを活用して団体旅行客の集客を行いました。

団体旅行客の宿泊は、個人旅行と違って多くの手間がかかるため、旅行代理店で宿泊予約を行うのが一般的です。事業者側としては、旅行代理店の利用は集客が楽な一方で、送客することがデメリットとしてあります。そこでホテル・サンミ倶楽部では送客手数料を削減するためにも
「熱海でリゾートミーティング」というコンセプトのもと自社HPで法人の団体旅行需要の取り込みを行いました。

結果としては、非日常の環境で会議や研修を行う魅力を自社HPで訴求することで、大企業の一部門やベンチャー企業などの小規模の団体旅行客の予約獲得に繋がりました。小規模の団体旅行であれば公共交通機関の手配など自分たちで行う前提であったため、
旅行代理店を介さず集客することに成功しました。

業界の常識にとらわれず、競合が注力しない販売チャネルにて成功した例だと言えます。

まとめ

予算の限られた中小企業であっても、特定の市場の中で優位性を作り出す差別化集中戦略を用いることで、市場にて一定のシェアを確立することができます。
自社で差別化集中戦略に取り組む際には、是非当コラムで紹介しているプロセスをご参考ください。

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詳しくはサービスページ【WEB集客・販促】をご覧ください。

香山昌太
この記事を書いた人
香山 昌太

大学在学時にEC古着事業の立上げを経験後、新卒にて大手繊維商社に入社。国内大手アパレルメーカーに対する、アジア圏を中心としたOEM生産の営業活動に従事。 新規事業開発室に異動後、プロスタイリストを顧客とした撮影衣装リース事業の立上げ・運営に従事。 中小企業におけるマーケティング活動の支援を行うため、グローカルに入社。