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【医療広告ガイドライン⑧】その他広告の規制事項

マーケティング施策は、クリニックや病院に重要な経営戦略の一つです。その中でもWEB広告は時に強力な集患ツールとなりますが、一方で2020年7月には広告代理店や広告主の社員が誇大・誇大の内容をWEB上に記載した結果、医薬品医療機器等法違反で逮捕されました。悪質ではないとしても「気付いた時には法律に抵触していた」という事態を未然に防ぐために、医療広告は確かな知識を以って展開していくことが重要です。
今回のコラムシリーズでは、2018年から規制が始まった「医療広告ガイドライン」の解説を通し、コンプライアンスを遵守した医療広告展開のための知識をお伝えしていきます。

目次
①医療広告ガイドライン以外で注意すべき関連法規
②その他広告掲載の禁止事項

医療ガイドライン以外でも認識が必要。関連法規による広告の規制

これまでのコラムでは「医療広告ガイドライン」での禁止事項について述べてきましたが、今回は医療広告ガイドライン以外のガイドライン・関連法規で禁止されている事項についてお伝えしていきます。

①他の法令やガイドラインによる禁止事項
医療広告ガイドライン以外の法令やガイドラインにおいては、以下の法律を順守すべきことが求められます。
1)医療品・医療機器等法
2)健康増進法
3)不当景品及び不当表示防止法

 

1)医療品医療機器等法
医療品医療機器等法では、医薬品や医療機器の名称、効能/効果、性能について虚偽・誇大広告をすることが禁止されています。更に、承認前の医薬品・医療機器についての名称、効能/効果、性能についての広告も禁止されています。ただし、以下の要件を満たすことで広告可能な場合もあります。要件を正しく認識することで逆に差別化を図れますので、正しく認識しておくことが重要です。
<限定解除の要件>
(i)正しい情報が掲載されており、患者が自ら情報を求めて入手する情報を表示するウェブサイトであること(検索広告などと紐づいていない)
(ii)表示される情報の内容について、情報確認のための問合せ先が明記されていること
(iii)(自由診療の場合)治療内容や費用が明記されていること
(iv)(自由診療の場合)主なリスク、副作用について記載があること

<未承認の医薬品・医療機器の要件>
(i)未承認医薬品・医療機器であることを明示すること
(ii)入手経路等を明示すること
(iii)国内に同一成分・性能を有する承認済み医薬品・医療機器の有無を明示すること
(iv)諸外国で承認されている医薬品・医療機器の場合、明らかとなっている使用状況・重大な副作用等を明示すること
(v)諸外国での使用実績がない場合等情報が不足してい売®場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示すること

2)健康増進法
健康増進法では、食品として販売するものに関して、健康増進の効果について著しく事実と異なる表示を行い誤認しうる情報を掲載することが禁止されています。医薬品・医療機器についての情報だけでなく、食品についての記載にも細心の注意が必要です。

3)景品表示法
景品表示法では「不当表示」と呼ばれるものが規制されています。
「不当表示」とは品質や価格について競合他社より格段に優れている等の記載によって、事実・虚偽に関わらず消費者を誤認させるような表示のことを指します。

4)不正競争防止法
不正競争防止法では、不当な目的・手段によって競合他社との優位性を示そうとする行為を禁止しています。例えば
・類似商品・サービスを販売し、消費者を混乱させうる手法
・他社の商品・サービスを自社のサービスとして販売すること
・営業秘密を不正に取得/利用すること
などです。

②その他禁止事項
最後に、医療広告ガイドラインにおいて、その他一部規制されている広告内容があります。それは
「品位を損ねる内容の広告」
です。客観的な情報を提供し、患者等が適切に理解できる情報を提示する必要があることから、医療機関や医療の品位自体を下げかねない下記の事項は禁止されています。

1)費用を強調した表示
医療は必要な人に必要なタイミングで提供されるべきものであり、時期性などは関係なく提供されるべきものです。よって以下の表現は規制対象となります。
例:「今なら5000円OFF」
「風邪治療し放題プラン」

2)直接医療の内容とは関係ない事項による患者の誘引
1)と同様、医療は必要な人に必要なタイミングで提供されるべきものであるため、明らかに関係のないもので患者を惹きつける行為は規制対象です。
例:「無料相談・診察をされた方全員に、N95マスクをプレゼント」

3)ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告
この項目についてはガイドラインで明記されていませんが、良識の範囲内で、医療のイメージを下げうる記載は避けるべきです。

まとめ

今回のコラムでは
①医療広告ガイドライン以外で注意すべき関連法規
1)医療品・医療機器等法
2)健康増進法
3)不当景品及び不当表示防止法
4)不正競争防止法
②その他広告掲載の禁止事項
という、公正な競争下で医療を提供するために認識しておくべき関連法規・事項をお伝えいたしました。医療機関でWEBマーケティング活用を検討されている方は、医療広告ガイドラインの理解が必須です。是非続編のコラムもご覧ください。

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重光洋亮
この記事を書いた人
コンサルタント
重光 洋亮

元看護師。新卒で日本赤十字社医療センターに就職。SCU(脳卒中ケアユニット)・脳神経外科・神経内科を経験したのち、2020年から株式会社グローカルに入社。広島県出身。第2の故郷は岩手県陸前高田市。