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経営戦略

【製造業界のアフターコロナ】業態別に見たアフターコロナの見通し

中小企業はwithコロナ・アフターコロナの時代をどう乗り切るべきかー。今後の見通しを示した業界別コラム(「【中小企業のアフターコロナ#4】製造業におけるアフターコロナの見通し」)に引き続き、地方の中小企業の経営コンサルティングを行う株式会社グローカルが、製造業界における業態別の影響と予想される変化をまとめました。

このページでは、製造業をさらに業態別に切り分けて景気動向指数(DI値)に基づく詳細な分析を行います。

DI値の年間平均×下げ幅で見える製造業各業態への影響

帝国データバンクが2020年5月に発表した景気動向調査では、各業界毎の新型コロナウイルスの影響がどの程度であるかを景気動向指数(DI値)によって示しています。2019年4月から2020年3月までのDI値の平均と、2020年4月のDI値における前年同月からの下げ幅を基に、製造業における業態別の影響をまとめました。コロナショック初期から長く深刻な影響が続く製造業ですが、その影響の程度は業態毎に異なることが見えてきます。

A)業績が比較的良く、コロナショックの影響が小さい業態
年間平均「高」×前年同月比下げ幅「小」
■建材・家具、窯業・土石製品製造
■精密機械、医療機械・器具製造

B)業績は比較的良かったものの、コロナショックにより大きな影響を受けている業界
年間平均「高」×前年同月比下げ幅「大」
■輸送用機械・器具製造
■電気機械製造
■化学品製造
■機械製造
■パルプ・紙・紙加工品製造
■鉄鋼・非鉄・鉱業

C)業績が悪く、コロナショックによる追い打ちが大きく影響している業界
年間平均「低」×前年同月比下げ幅「大」
■出版印刷

自社の置かれた状況を見極め、適切な対策を講じることが求められる

同じ製造業でも業態によってコロナショックによる影響が異なるように、withコロナ、アフターコロナへの対策の取り方も変わってきます。

A)業績が比較的良く、コロナの影響が小さい業態
コロナショックにより売り上げへの影響は出ているものの、深刻な打撃とまでは至っていない。業務の減少によって余剰が生まれたリソースを、これまで忙しさのあまり手を付けることが出来なかった社内体制の強化や、新たな生活様式により創出されるニーズに対応した新規事業の立ち上げへと振り分けることで、アフターコロナにおいて売り上げを伸ばしていくための準備を進める必要がある。

B)業績は良かったものの、コロナにより大きな影響を受けている業界
これまで業績が好調もしくは悪くなかったものの、コロナショックによる深刻な影響が生じている。またこの影響は今後数年単位で長引くことが予想されることから、人員が余剰となり人員整理も必要になる可能性がある。現在の状況が長期化することを念頭に置いた、根本的な運営体制の見直しが迫られる。

C)業績が悪く、コロナによる追い打ちが大きく影響している業界
コロナショック以前から業績が低迷しており、危機的な状況に瀕している。国の支援はもちろん、あらゆる手段を使ってwithコロナ時代を生き抜くことを優先しなければならないことが考えられる。全く新しい販路開拓や、異業種との提携など、これまで考えもしなかった施策についてもゼロベースで取り入れていく必要がある。

コロナショックにより長く深刻な影響が続く製造業。中小企業がwithコロナやアフターコロナ時代に生き残っていくためには、自社の置かれている状況を正確に把握し、適切な対策を講じていくことが求められます。

矢野口聡
この記事を書いた人
矢野口 聡

長野県出身。東京大学大学院にて工学修士取得後、国内大手メーカーに技術職として入社。 ディスプレイ材料の研究開発に従事し、新製品の立ち上げから製品化に至る一連の製品ライフサイクルに携わる。 地域のモノづくり企業における持続的な発展や、経営課題の解決に取り組みたいという思いから、グローカルへ参画。社内の新規事業立ち上げを中心に、事業戦略から人事組織事業、WEB集客・販促事業におけるコンサルタントを兼務。