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【医療広告ガイドライン⑤】誇大広告

マーケティング施策は、クリニックや病院にとって重要な経営戦略の一つです。その中でもWEB広告は時に強力な集患ツールとなりますが、一方で2020年7月には広告代理店や広告主の社員が誇大・誇大の内容をWEB上に記載した結果、医薬品医療機器等法違反で逮捕されました。悪質ではないとしても「気付いた時には法律に抵触していた」という事態を未然に防ぐために、医療広告は確かな知識を以って展開していくことが重要です。
今回のコラムシリーズでは、2018年から規制が始まった「医療広告ガイドライン」の解説を通し、コンプライアンスを遵守した医療広告展開のための知識をお伝えしていきます。

目次
①誇大広告とは
②誇大広告の例
(i) 通常の内容を誇張した広告
(ii) 現在とは乖離したデータの記載
(iii) セット料金などの条件付き割引の記載
(iv) 「〇〇センター」等の記載
(v) 手術・治療の有効性・デメリットを過剰に
強調するもの、エビデンスに乏しいもの
(vi) 撮影条件を変えた前後比較写真の掲載

“エビデンス”がポイント。「誇大広告」の概要と具体例

①誇大広告の概要
「誇大広告」は、
・施設規模
・人員配置
・提供する医療内容
などについて、虚偽の内容ではないが、事実を過度に誇張したり、誤認させる恐れのある記載を行って、自院の優位性をアピールする広告を指します。誇大広告にしないためのポイントは、「その記載に有効なエビデンスがあるか」という点に尽きます。では、具体的な例を見ていきたいと思います。

②誇大広告の具体例
誇大広告はいくつかのパターンに分けられますが、このコラムでは6つに分類して解説していきます。

(i) 通常の内容を誇張した広告
NG例:「知事が認可した広島県の病院です!」
病院を開設するためには、都道府県知事の許可を得ることが必須です。そういった通常の手順である内容を、あたかも「特別に認可されました!」というニュアンスで記載することは誇大広告に該当してしまいます。

(ii)現在とは乖離したデータの記載
NG例:「当院は500床のベッドを有します」(現在は減少して300床、など)
「当院は100名の医師が在籍しています」(現在は減員して20名、など)
こういった記載に関してはほぼ虚偽広告と言えます。過去に実績があった数字だったとしてもその数字を残し続けることは、情報の公正さを損なうため、ガイドラインに抵触する内容となってしまいます。逆にいえば、ホームページ上などで記載している医師数・コメディカルの所属数、病床数といった「数字」に関しては頻繁にチェック・修正を行わなければいけないため、注意が必要です。

(iii)セット料金などの条件付き割引の記載
NG例:「VIOラインの脱毛 1か所5000円」
(3か所のセット料金を、バラでも同一料金のように提示する場合)
例えば上記のような、セットと単品で料金が異なる場合、セット料金である旨をわかりやすく記載しなければいけません。
改善例:「VIOラインの脱毛 3か所同時申込の場合、1か所当たり5000円」など
例え記載していたとしても、明らかに文字が小さすぎる、文字が背景色と類似しているような場合も抵触してしまいますので、公明正大な記載を心掛ける必要があります。

(iv)「〇〇センター」等の記載
NG例:○○地区医療センター
「○○センター」という記載は、
・救命救急センター
・休日夜間急患センター
・総合周産期母子医療センター
など一定の施設基準を満たし認可を受けているもの、もしくは地域の中核的な機能・役割を担う病院であることを都道府県等が認めている場合のみに認められます。該当しない病院が「センター」と名乗ることは、病院のステータスを過剰に記載しているとの認識となり、誇大広告として取り扱われます。

(v)手術・治療の有効性・デメリットを強調するもの、エビデンスに乏しいもの
NG例:比較的安全な術式です
従来の効果が乏しい○○療法ではなく、新たに開発された○○療法がお勧めです。
科学的根拠を以って記載する分には問題ありませんが、エビデンスがはっきりとしていない事項に関しては記載が禁止されています。またエビデンスがある場合でも「比較的」などという抽象的な表現は極力避けるべきと言えます。

(vi)撮影条件を変えた前後比較写真の掲載
自由診療など一部治療において前後比較写真の掲載は許可されますが、その場合であっても過度な演出を加えた写真撮影は禁物です。例えば
・ライトを暗くして演出した生気のない写真
・照明の明るい部屋でメイクも行った写真
を比較し、「これが○○社の鉄剤の効果です!」といった訴求はいけません。

これら以外にも誇大広告として代表的なものはありますが、まずはこれらの内容に注意することが重要です。ポイントは
・エビデンスがあるか
・最新のデータ(エビデンス)か
・故意の情報操作を行っていないか
の3点です。ぜひ覚えておいてください。

まとめ

今回のコラムでは、医療広告ガイドラインの誇大広告の
①誇大広告の概要
②誇大広告の具体例
(i) 通常の内容を誇張した広告
(ii) 現在とは乖離したデータの記載
(iii) セット料金などの条件付き割引の記載
(iv) 「〇〇センター」等の記載
(v) 手術・治療の有効性・デメリットを過剰に
強調するもの、エビデンスに乏しいもの
(vi) 撮影条件を変えた前後比較写真の掲載
についてお伝えいたしました。医療機関でWEBマーケティング活用を検討されている方は、医療広告ガイドラインの理解が必須です。是非続編のコラムもご覧ください。

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重光洋亮
この記事を書いた人
コンサルタント
重光 洋亮

元看護師。新卒で日本赤十字社医療センターに就職。SCU(脳卒中ケアユニット)・脳神経外科・神経内科を経験したのち、2020年から株式会社グローカルに入社。広島県出身。第2の故郷は岩手県陸前高田市。