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経営戦略

【中小企業のアフターコロナ#6】宿泊業界におけるアフターコロナの見通し

中小企業はwithコロナ・アフターコロナの時代をどう乗り切るべきかー。

地方の中小企業の経営コンサルティングを行う株式会社グローカルが、業界ごとにアフターコロナの見通しをまとめました。このページでは、宿泊業におけるアフターコロナ対策をご紹介します。

緊急事態宣言後の外出自粛で大幅な減収を余儀なくされる

世界的な新型コロナウィルス影響で、それまで好調であったインバウンド観光客の減少、また国内でも外出自粛による旅行やビジネスニーズの低下、緊急事態宣言後の休業要請、各地域でのイベントの中止など、レジャー需要の高まる春休みやGW期間を含む数ヶ月にわたり大幅な減収を余儀なくされました。
その状況を受け、①都市圏などの遠方からではなく、地元・近隣からの集客にシフト②団体から個人への販売シェアのシフト③従来接点を多く持つことでもてなしてきたサービスから、密を意識させないサービスへのシフト④地元名物の通信販売など宿泊以外での顧客との繋がり方の検討など、創意工夫の動きも見られました。
自粛緩和や宣言解除をこれから迎えるに当たり、生活様式の変化に伴い、旅行や宿泊施設に対して価値観が変わったターゲットに対してどのような集客戦略をとれば良いのでしょうか。

「Go To Travelキャンペーン」特需が落ち着いた後の集客安定化が肝

他の業界と同様、従業員を一時的に休業させる場合は、休業手当の4/5(解雇などを行わない場合は9/10)を保証する「雇用調整助成金」をはじめ、2020年の間に一か月の売上が前年同月比で50%以上減少している月がある企業に最大200万円が支給される「持続化給付金」、実質的に無利子で融資が受けられる「新型コロナウイルス感染症特別貸付」など、様々な支援策が用意されています。また、ITシステム導入や新規事業展開に使える「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、収束後に、旅行業社を経由して旅行商品を購入した旅行者に代金の半額に値するクーポンを付与する「Go To Travelキャンペーン」など、需要回復に向けた支援策も予定されています。「Go To Travelキャンペーン」で一時的な需要回復は見込まれると予測されますが、その後の安定的な集客に繋げるためには、今のうちから手を打っておくことが重要です。

新しい価値観による旅行ニーズを的確に捉え獲得する

新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動を両立させるため、政府が提唱する「新しい生活様式」。その内容を踏まえ、施設内での安心・安全の徹底はもちろんのこと、宿泊業の在り方も大きく変容すると考えられます。

①新しいサービス設
手を加えた分だけ顧客満足度向上に繋がっていましたが、今後は、場面によってはなるべく接しないサービスが求められるでしょう。
チェックインや食事提供方法、送迎などサービスシーンごとに整理をし、サービス方法の変更や廃止することも検討するべきです。

②集客戦略の立て直し
支援策もあり、一時的には旅行ニーズは上向くと考えられますが、旅行に対する価値観の変化により以前の集客方法では通用しなくなる可能性があります。
有名観光地でさえ客足が元通りになるには時間がかかることが予想され、価格や施設力を推す販促からニーズを喚起し宿泊を促す提案型の販促が主流になるでしょう。

③地元・近隣マーケットに注力
宣言解除や自粛緩和後、しばらくは、飛行機や新幹線、長距離バスなどの利用は控えられ、車で行ける距離での移動が主になるでしょう。
今まで県外や海外へ旅行に行っていた地元・近隣層の取り込みが重要になってきます。

光熱費や人件費など固定費の割合の高い宿泊業界。withコロナやアフターコロナ時代に生き残っていくためには、「新しい生活様式」による旅行ニーズを的確に捉え、集客方法や提供サービスを変革していく必要があります。

takayoshi.ishikawa
この記事を書いた人
石川 貴理

東京都出身。某老舗温泉旅館のWEB販売企画係責任者として勤務。自社サイトやOTAの運営・管理、プラン造成を担当。グローカルの支援先でもあり、当時は旅館のスタッフとして本施策の効果を体験。現在は東京に戻りWEB集客支援に従事。温泉と80’sメタルをこよなく愛するアラフォー。