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経営戦略

【中小企業のアフターコロナ#3】飲食業界におけるアフターコロナの見通し

中小企業はwithコロナ・アフターコロナの時代をどう乗り切るべきかー。

地方の中小企業の経営コンサルティングを行う株式会社グローカルが、業界ごとにアフターコロナの見通しをまとめました。このページでは、飲食業におけるアフターコロナ対策をご紹介します。

コロナショックの影響を最も大きく受けた業界

新型コロナウイルスによる影響をダイレクトに受けた業界のひとつ、飲食業。帝国データバンクの「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」によると、飲食業に属する98.3%の企業が、業績にマイナスの影響があると回答しています。1月下旬から2月にかけてのインバウンド観光客の減少や、3・4月の歓送迎会自粛ムード、さらに追い打ちをかけるような外出自粛要請による営業時間の短縮や休業など、ここ数ヶ月にわたり、飲食店にとって非常に厳しい状況が続きました。

一方、来店売上の減少を補うため、デリバリーやテイクアウトの実施、通販への参入など、新たな収益の柱を立てるための動きが見られたのも、コロナ禍における飲食業の特徴です。

政府の支援策は、生き残るための支援から需要回復のための支援へ

他の業界と同様、従業員を一時的に休業させる場合は、休業手当の4/5(解雇などを行わない場合は9/10)を保証する「雇用調整助成金」をはじめ、2020年の間に一か月の売上が前年同月比で50%以上減少している月がある企業に最大200万円が支給される「持続化給付金」、実質的に無利子で融資が受けられる「新型コロナウイルス感染症特別貸付」など、様々な支援策が用意されています。

また、ITシステム導入や新規事業展開に使える「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、収束後に、ポイント付与や割引付きの食事券などで消費者の飲食店の利用を促す「Go To Eatキャンペーン」など、需要回復に向けた支援策も予定されています。

「新しい生活様式」に見合ったアフターコロナの飲食店とは

新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動を両立させるため、政府が提唱する「新しい生活様式」。その内容を踏まえ、飲食店の在り方も大きく変容すると考えられます。店舗内での安心・安全の徹底はもちろん、下記のような変化が予測されます。

①IT化の加速
店員とお客様の接触を最小限に抑えるため、デジタルメニューやモバイルオーダー、キャッシュレス決済を導入する飲食店が増えると考えられます。また、過去の顧客データを基に、混雑状況予測を行うAIの導入など、飲食業界にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せることでしょう。

②非来店売上の増加
今回のコロナショックを受けて、来店売上以外の収益の柱を作っておくことの重要性を実感した飲食店経営者が多くいらっしゃると思います。外出自粛要請期間中に実施していたデリバリーやテイクアウト、通販などは、アフターコロナでも継続して取り組む飲食店が増えるでしょう。結果的に、来店売上に依存せず、第2・第3の収益の柱を作り出すことができた飲食店が生き残っていくと考えられます。

③クラウドキッチンの台頭
家賃や人件費などの固定費がかかる実店舗を持たず、デリバリーのみに対応する飲食店が増えることも予想されます。さらには、そうした飲食店がひとつの調理場をシェアする、クラウドキッチンという新たなビジネモデルも一般化する可能性があります。

利益率が低く、廃業率も高いと言われる飲食業界。飲食店がwithコロナやアフターコロナ時代に生き残っていくためには、「新しい生活様式」に見合ったビジネスモデルの変革によるリスク分散が求められています。

加藤英里
この記事を書いた人
マーケティング戦略事業部
加藤 英里

新卒で入社したリクルートにて、地域振興事業の立ち上げから推進まで9年間従事。プロモーション企画立案、ご当地グルメプロデュース、イベント主催などの他、講演やセミナー講師も務める。2014年5月から現職。BtoB・BtoC問わず、病院・結婚式場・メーカー・レジャー施設などのWEB集客コンサルティングに従事。