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経営戦略

【中小企業経営者の判断】有事における経営判断のよりどころ「精度の高い仮説思考」

中小企業において事業を伸長させるためのセオリーとして、成功事例を迅速に実行に移すことは、一つの方法であると思います。しかしながら、このやり方が有効であるのは、市場の変化が緩やかで、成功事例が成立した際のマーケットとの差分が少ない場合に限られます。バブル崩壊やリーマンショックのような経済危機はもちろん、今回のコロナショックのような世界規模で起きる経済ショックにおいては、倣うべき成功事例自体が存在しないため、この方法を使うことはできません。
こうした有事において、中小企業の経営者が勝ち筋を見出すためには、精度の高い仮説思考を駆使して状況の先読みをし、PDCAを高速に回すことが有効な手段と言えます。
このページでは、中小企業経営者が有事の経営判断において必ず押さえておきたい「精度の高い仮説思考」のポイントについて解説したいと思います。

平時、有事を問わず中小企業の経営判断に有効な精度の高い仮説思考

世界規模の経済危機であっても、中小企業の経営者は生き残りをかけ自社の舵取りを行わなければいけません。従来であれば、先人が成功事例をつくっているケースも少なくないので、それをいち早く取り入れることで対応出来たものが、有事においては行うことができません。そうした際には、現状を踏まえた精度の高い仮説思考を用いて経営判断を行うことが非常に有効です。

有事であっても経営判断に有効な精度の高い仮説思考3つのポイント
1.従来のビジネススタイルで継続可能かを検討
2.ターゲットの見直しをゼロベースで検討
3.販売方法の見直しをゼロベースで検討

「1.従来のビジネススタイルで継続可能かを検討」について
まず検討すべきことは、従来のビジネススタイルで事業継続をすることが可能かどうかを検討することです。有事には周囲の環境が大きく変わりますが、必ずしもビジネススタイルを変更しなければいけないというわけではありません。しかしながら、ほとんどのケースで従来のビジネススタイルで事業を継続することは難しいことは、数時間分析すればすぐに判明することだと思います。ただ、このプロセスを省くことは危険なので、可能性は少ないものの、本当に従来型のビジネススタイルでの事業が継続できないかを精度の高い仮説思考により検討することは重要です。

「2.ターゲットの見直しをゼロベースで検討」について
従来のビジネススタイルでの事業継続が不可能であることが判明した後すぐに取り掛かるのは、自社の商品・サービスがどのようなターゲットに対してどのような価値を提供できるかをゼロベースで見直すことが重要です。長くビジネスを続けている企業ほど、先入観により顧客ターゲットが狭く感じられてしまうケースが散見されますが、自社の商品・サービスを再度客観的に見直すことで、新たな価値を見つけることは可能です。新たなターゲットにどのような価値を提供できるかを見つけるには、精度の高い仮説思考が不可欠です。

「3.販売方法の見直しをゼロベースで検討」について
新たなターゲットに対して、自社の商品・サービスが価値を持つことが判明した後には、販売方法の見直しを行います。新たなターゲット層をペルソナに落とし込み、ペルソナの特徴を踏まえた際に、どのように伝えれば、自社の商品・サービスの価値が伝わるかを整理し、販売方法を確立することが重要です。その際に、これまでの販売方法に縛られることなくゼロベースで検討することが重要です。その場合には、直販方法の検討はもちろんですが、パートナーとの協業なども並行して検討することが重要です。こうした検討にも精度の高い仮説思考がもちろん不可欠となります。

中小企業において、有事における経営の舵取りは、台風下の荒波の中で風向きを読み、小船の航路を見出すようなものですので、非常に難易度の高いものと言えます。しかしながら、そうした有事であっても、上記3つのポイントを順を追って着手することで、活路を見出すことが可能になります。

まとめ

中小企業において、世界規模の経済危機は死活問題であることは間違いありません。しかしながら、過去の成功事例をアテにできないこのような状況下であっても、精度の高い仮説思考により、ひとつずつ順を追って検討することで、勝ち筋を見出すことが可能です。困難な状況であっても、まずは企業を存続させること最も重要です。しかしながら、ただ生き残ることに集中すると先が見えなくなります。あきらめることなく、精度の高い仮説思考を駆使することで、明るい未来を描くことが重要です。

 

株式会社グローカルでは、地方の中小企業や、地方への参入を検討している中小企業の経営戦略策定支援を行っています。詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

浅野 道人
この記事を書いた人
浅野 道人

新卒で入社した総合人材会社インテリジェンスにて法人営業を経験した後に、 経営コンサルティング会社にて大手から中小ベンチャー企業まで規模を問わず 人事領域のコンサルティングに従事。 その後、楽天にて人事・総務職、外資系人材会社にて営業マネージャー・人事職を経験。 現在、代表取締役として、WEB集客コンサルティング事業、組織・人事コンサルティング、キャリア支援事業を担当。